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2015.06.11ターゲットは世界一 アーチェリーユース日本代表 大橋朋花さん


アーチェリーユース日本代表 大橋朋花

雲一つない空から降り注ぐ強い陽射しに、キラキラの笑顔が光っていた。

新緑に囲まれた聖マリア女学院アーチェリー部の射場。足を肩幅に広げ、上体は大地と垂直、バランスの取れた美しいフォームで弓を射る大橋朋花さんは、この春入学したばかりの高校1年生。身長166センチ、アスリートとは思えぬほど華奢で可愛い女の子だ。

学校は中間テスト期間中。それにもかかわらず、たった一人部活にやって来たのは、間近に大切な試合が控えているためだ。15歳ではたった一人選ばれた日本代表として、6月8日よりアメリカで行われる「第14回世界ユース選手権」に出場する。

 

大橋さんは中学入学と同時にアーチェリーを始めた。部活紹介でアーチェリー部の先輩が風船割りを実演。「カッコイイ。これしかない」。小学校でやっていたバレーボールに替わるスポーツを探していた彼女の目には、この未知の競技はとても魅力的に映った。

最初の1年は、的に使われている畳に矢が「トン!」と軽い音を響かせ刺さるだけで楽しかった。転機となったのは中学2年で初めて出場した全国大会。予選を通過し臨んだ決勝トーナメント1回戦、相手は同じ2年生。同点で延長戦「シュートオフ」にもつれこんだが、勝ち上がりを決める矢はわずか3ミリ、相手の方が的の中央に近かった。

「これからずっと対戦する相手だと思うと本当に悔しかった。勝つためにはもっと練習しないと」と大橋さんは本気でアーチェリーに取り組み始める。

 

とにかく反復練習

 

アーチェリーには、正しいフォームと強いメンタルが求められる。それを作るためには常に“一定のリズムで弓をひくこと”を体に覚えこませるしかない。
「練習すればするほど点数が上がる」。その言葉を胸に、大橋さんは始業前の朝練習と部活後の居残り練習を毎日行うようになった。1日4時間弱、300本の弓をひく。今では頭の中でカウントをしなくても、矢を弓にセットするところからフィニッシュまで、全く同じリズムでシューティングができる。

「強くなるためには、とにかく反復練習しかない」。地道な練習の効果は、安定したシューティングだけでなく、メンタルの強さとなって現れた。射場を使える時間を最大限活用することで「こんなに練習してきた」と自信を持って試合に臨むことができるようになったのだ。

 

悔しい思いをした大会からちょうど1年後、大橋さんは予選でキャデット(16歳まで、60メートル)の日本新記録649点を出す。3年ぶりの記録更新、これまでの記録を17点上回った。
更に秋の大会、「集中して練習できたので、たぶん(得点が)出るだろうな」と心に余裕をもって挑んだ大会で、660点の高得点をたたき出す。予選で放つ弓は72本、1本平均は9.17点とほとんど中心円から外さない驚異的な記録を打ち立てた。

 

強いメンタルで 目指すは五輪2冠

 

反復練習で築き上げたフォームとメンタル。今年3月に行われた世界ユース選手権の選考会でも、その実力が発揮された。参加選手のほとんどが年上。そこでトップの得点を出した。大舞台でもプレッシャーに負けずアーチェリーを楽しめたことが結果に繋がった。

今後の目標を聞くと笑顔で2つの答えが返ってきた。1つは学校にタイトルをもたらすこと。そしてもう1つはオリンピックの金メダルだ。

部の発足以来、聖マリア女学院はアーチェリーに力を入れてきた。少しずつ射場も拡張され、より良い環境で練習ができようになった。それはこれまでに活躍した先輩や先生のおかげ。その恩に報いるために「全国のタイトルを獲りたい」と意気込む。

そしてその先に見据えるのはオリンピック。それも「2大会連続で金メダルを勝ち取りたい」という大きな夢を持つ。

「1度のオリンピックではケガをして出られない選手やたまたま調子が悪かった選手がいるかもしれない。世界で一番強いと言われるためには2連覇を成し遂げ、オリンピック以外の世界選手権でも優勝しないといけないと思っています」。

聖マリア女学院アーチェリー部の大橋朋花さん。追求しているのは0.1ミリ相手の内側を射抜くこと。その正確なシューティングと強靭なメンタルで、世界に挑む。

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取材・文/STAR+編集部

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