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2014.07.06岐阜から世界へ!スケートボードプロ3兄弟 笹岡拳道、堅志、建介

スケートボード笹岡兄弟

 

異なる個性の3兄弟

 

スケートボード界で今最も注目を集める選手が岐阜市にいる。「笹岡3兄弟」、世界的にも珍しい3兄弟のプロ選手だ。

長男の拳道(けんと)は21歳。スピードとパワーあふれる滑りが特長で、2012年の関西アマチュア・サーキットで総合優勝し、日本スケートボード協会公認のプロになった。
次男の堅志(けんし)は17歳で、スタイリッシュな技にとことんこだわる職人肌タイプ。アマチュアのトップ選手が集まる全日本大会で6位に入った実力者だ。
三男の建介(けんすけ)は15歳。高いエアが特長で、派手なパフォーマンスで観客を盛り上げるエンターテイナー。去年初めて出場したプロツアーでいきなり優勝、衝撃のデビューを飾った。
兄弟でありながら異なる個性持ち、実力はそろって国内トップクラス。笹岡3兄弟が注目を集める理由がそこにある。

3人がスケートボードを始めたのは10年前。最初はスノーボードの練習のためにと始めた。スノーボードとスケートボード、両方を行う選手は多い。ソチオリンピックで銀メダルに輝いたスノーボードハーフパイプの平野歩夢選手も雪のない夏場の練習にスケートボードを取り入れているし、トリノ、バンクーバーのスノーボード金メダリストのショーン・ホワイト選手はスケートボーダーとしても活躍している。笹岡兄弟は、灼熱のコンクリートのコースで滑るスケートボードに熱中になり、雪の上からは次第に離れていく。

まだまだ競技人口が少ない(※)スケートボードは本格的に練習できる環境が少ない。岐阜市はインラインスケートの国際大会が開かれているにもかかわらず、スケートボードを本格的に練習できる場所はない。そのため、主に週末、愛知県や大阪府まで行き練習を行っている。そこで3人は一日中夢中で滑り続けてきた。

厳しい練習環境の中、「プロになりたい」という兄弟の夢を支えたのは元国内トップ選手だった父親の賢治さん。基礎からレベルの高い技までを教え、厳しくそして献身的に指導し、3人の夢を叶えた。

 

日本スケートボード協会によると、日本のスケートボード競技人口はアマチュア選手が約2000人、公認のプロ選手が約100人。世界レベルでプロと呼ばれている日本人は数人しかいない

 

プロとして

 

スケートボード笹岡兄弟

念願のプロにはなったが、苦労は続く。日本には賞金の出るプロの大会が少ないのだ。2014年の日本スケートボード協会主催のプロツアーは全4試合。7月5日行われた第2戦は韓国開催のため笹岡兄弟は出場しておらず、参加出来る大会は実質3試合。交通費や宿泊費は自腹で、ツアーには大きなスポンサーが付いていないため、大会で上位に入っても賞金はわずか数万円。海外では“ミリオン”を稼ぎだすプロ選手もいるが、日本では賞金だけで食べていくことは難しいどころか無理な話だ。

そんな国内の競技環境を良くするためには、スケートボードの楽しさを広く知ってもらい、もっと大きな大会が開催されるようになることが必要だと考えた3人は、競技の傍らスケートボードのPR活動にも積極的に参加している。
5月に富山市にオープンしたアジア最大級のスケートボード施設「富山市ストリートスポーツパーク」。そのオープニングセレモニーに招待された「笹岡ブラザーズ」は、デモンストレーションでこれぞプロという派手なパフォーマンスを披露。本場アメリカから来たプロ選手をも唸らせる技で、会場を大いに沸かせた。

 

岐阜から世界へ、3人3様のこれから

 

次なる夢「世界への挑戦」の第一歩として、去年長男の拳道はアメリカに短期留学した。本場のパフォーマンスに刺激を受け帰国した拳道は、環境を整え練習を積むことで世界に挑戦できる実力を身につけたいと、高さ3.3メートルの「バート」と呼ばれるハーフパイプ状のコースの建設を提案した。バートは高ければ高いほどスピードが出て高く飛べ、難度の高い技に挑戦しやすいのだ。愛知県あま市のスケートボード場「Hi-5」の協力を得て、手作りでコースを新設。世界への準備は着々と進んでいる。

また、留学中最も驚いたのはその環境の違いだ。カリフォルニアの町の中には当たり前のようにスケートボードの施設があり、小さな子供たちが楽しそうに滑る姿を目の当たりにしたのだ。最近は、ソチ五輪でスノーボード選手の活躍もあり、スケートボードを始める小さな子供たちが増えているという。自分たちのためだけでなく、環境を整備することで、その子供たちが自分たちの後に続いてくれることを願っている。

 

プロになるという夢を叶えた3人に、今後の目標を聞いた。

スケートボード笹岡兄弟
「世界のトップが集まるXゲームに出場したい」(三男の建介/左)

「順位よりもカッコイイと言われる滑りをしたい」(次男の堅志/中)

「スケートボードの楽しさをもっとたくさんの人に伝えたい」(長男の拳道/右)

ここでも三者三様の答えが返ってきた。

神戸で5月18日に行われた2014年プロツアーの初戦。ケガのため長男の拳道は欠場したが、次男の堅志が4位に、三男の建介は2位に入り順調な滑り出しを見せた。
スケートボードはまだまだ馴染みの薄いスポーツかもしれない。しかし岐阜から世界に羽ばたこうという3人の兄弟がいることは覚えておいて損はない。

笹岡拳道ブログ:http://ks0614-real-time.blogspot.jp

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取材・文/STAR+編集部

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